舟橋村官民連携子育てモデル造成事業

子育て共助を醸成する宅地造成事例 公開
2014年11月21日
第3回「子育てしやすい環境づくり」をコンセプトにした舟橋型宅地造成ビジョン検討会
~舟橋村官民連携モデル造成イメージ~
~舟橋村官民連携モデル造成手法~
日時:平成26年11月21日(金)18:00~20:00
場所:舟橋会館 2F研修室


第3回の趣旨説明

舟橋村 吉田昭博

検討会第1回目では「舟橋村の人口増の取組で新たに地域力の低下という地域課題が生まれたこと、舟橋村の人口予測について一年かけて調査したところ少子高齢化の影響が2040年には訪れるという2つの問題を踏まえて地域力の育成と安定的な子育て世代の人口の流入という2つが村にとって重要である。舟橋村では全国でモデルとなるような地域ぐるみの子育て環境の整備と公園本来の目的である地域のコミュニティを醸成する公園整備、地域共助機能を有する宅地造成事業の3つを実施し、実行に当たっては民間企業が地域づくりに新しいビジネスとして着手するという全国の事例から、賛同いただいた皆様と一緒にこの3つの事業を産学官金体制で実施したいこと」を説明した。それを踏まえた2回目では「子育て環境」「公園整備」ではYMCAの土肥さんから「地域が活性化する中でないと子育てはうまくいかない。地域を元気にする保育所運営、地域に支えられる保育所』という意見。オスカーの藤谷さんから「年配の方が子育て支援できるライフワークの仕組みが子育て環境に重要である」飯山造園の飯山さんからは「公園は地域のコミュニティを作る場所である」と言う意見をいただいた。
本事業のコンセプトは単なるハード整備ではなくて住民同士のつながりによる地域力の育成ということを一つの柱とした事業展開をしていきたいと考えている。今回第3回目におきましては官民による造成事業となるが、単なる人口増対策の造成事業ではなくて、子育て世代の方が安定的に入ってくるために、地域力・共助機能を持つ造成地をどのように造っていくかということを今回は勉強していきたいと考えている。


第1部 舟橋村官民連携モデル造成イメージ

司会進行:NiX 大門健一氏

子育てしやすい環境づくりをコンセプトにした舟橋型宅地造成ビジョン検討会第3回目

共助による子育て支援事例紹介

積水ハウス事例  富山大学 河合英明氏

埼玉県都市整備部子育て共助のまち普及モデル事業
プロポーザル方式によりモデル住宅団地を整備する事業者を「子育て」「共助」「普及」の3つのテーマで公募、民間事業者は提案に基づき戸建て住宅のモデル団地を整備、販売した事例
採用された積水ハウスの開発コンセプトは、「血縁」「地縁」「知縁」の3つの縁をつなぐコモンスペースの周りに高齢者世代の住宅を計画し、子ども・親・高齢者のすべての交流がうまれる「ひとえんコモン」~多世代居住による共助のまちづくり~
共助に関する工夫として、地域で子どもを見守りつながる仕組みづくりをおこなった

①ひとえんコモンの周辺に見守り世帯の住宅を配置することで、自然に顔を合わせ、見守り世帯のいきがいに
 ②公共空間の活用提案として、住民が向かい合って話し合える場としてのコミュニティの共有物の共同管理
 ③仕組みづくりの検証

普及に関する工夫として、「ひとえんラボ」で見守り世帯を拠点とした交流イベントを実施。
住み始めてから、自分たちで考える・プロセスを作る、白紙の部分をつくることで住民によるまちづくりの要素を提案し、「ひとえんラボ」を拠点として「共助の仕組み」「子育て共助のまちのインセンティブ」などのプレゼンテーション・プログラムを実施。地元NPO法人と連携させる。


金岡教授

『住宅地の中に子育ての仕組みを入れるといった仕組みをつくることはできないか?今まで無かった公園みたいなものを造りだして、ココを使って新しく仕組みをつくろうというのがこの事例。前半部分ではこのような取組はできないかを問い合わせたい。住宅をつくるだけでなく仕組みをつくるというイメージを膨らませてもらいたい」


ユーカリが丘事例 舟橋村 工藤拓也氏

千葉県佐倉市のユーカリが丘の特徴は「行政」「住民・地元商業者」「大規模小売店舗・企業・ディベロッパー」が互いに『共助』する三位一体の開発した事例。
ベデストリアンデッキの共用。民間交番。ディペロッパーによる地域雇用の生み出し。定量の分譲。各世代毎に地域内での住替えを簡単にするための「ハッピーサークルシステム」が整備、まちの成長を管理しながら考えている。


母力(BORIKI)事例  舟橋村 工藤拓也氏

お母さんが笑顔になる”子育て共感賃貸住宅”として、子育ての喜びを分かち合い、困った時に助け合えるコミュニティ「お母さんステーション」と車道と分離した子供たちがのびのびと遊べる「母力の庭」を共有スペースとして設置運営。また、住居スペースに縁側をつくりコミュニケーションスペースを意識した。


NiX 大門健一氏

紹介した3事例の要点を再度説明し、「このような全国の事例もあるが舟橋村でどうしていくのかこれから議論していきたい」と話した。


意見交換

コーディネーター 富山大学 金岡省吾教授

子育てをしながら住宅をつくるというイメージを全員で共有して、各委員から提案や意見・アイディアがだされた。事例のような形が舟橋村で可能かどうかの検討や事例に関する質疑がおこなわれ、「子育てしやすい舟橋村の住宅地のイメージ」「子育て共助の住宅地づくりポイント」「コミュニティ醸成の仕組みづくり」の3つの論点テーマをあげ、『新しい住宅スペースの可能性」「コンセプトイメージの必要性」「団地コミュニティ立ち上げの実状や課題」『公共スペースの緑の管理」『子育てとの連携」『行政へ期待する役割」『ランドスケープの必要性」「官民連携のあり方・可能世」『経済面・コスト面」「住民との協働」『不動産価値の維持」などについて約40分間にわたり提案・意見をもとに討議された。

子育てしやすい環境づくりをコンセプトにした舟橋型宅地造成ビジョン検討会第3回目

第2部 舟橋モデル官民連携モデル造成手法(基準作り)

司会進行:NiX 大門健一氏

モデル造成手法の事例紹介

下條村事例 富山大学 河合英明氏

長野県下條村の位置・地勢と現在の人口・年齢構成を紹介。全世代ほぼ均一な世代構成は全国的に人口減少が進むなか特異とし、
下條村が取った政策を紹介。

①高齢化が進む村の存亡危機から、若者居住で人口減少を食い止める為の政策のためにコストのかかる
 下水道整備を止め、合併浄化槽選択で経費削減

②公共事業の見直しを図り、20年以上前から村が資材を供給し、村民が重機を運転し自ら道路をつくる
 ことで、建設費を通常の1/5に削減。捻出した予算で入居条件付き格安家賃の若者定住促進住宅を建設
 (200戸以上の村営住宅を整備)入居条件に地区と消防団に加入し積極的に協力すること、若い夫婦か
 結婚予定のカップルに限定。入居条件を付けられたのは、国の補助金を入れず村の自己資本で建設した
 からで、入居倍率は常に3~4倍。2011年合計特殊出生率1.92人(全国平均1.39人)となっている。

UR事例 富山大学 河合英明

多摩平の森(多摩平団地)団地再生事業『建て替え三者(住民・日野市・UR)勉強会』~既存の団地を活用した住棟ルネッサンスの事例を紹介。昭和30年代に建設した多摩平団地は平成9年より建替事業着手し、住民・日野市・UR都市機構との『建て替え三者勉強会』を実施。(平成9年より年約10回、現在まで百数十回開催)単純な建替は時代に合わない。民間の新しいアイディア、民間のリノベーション、民間事業者の創意工夫によりUR賃貸住宅とは異なる多様な住宅として再生・活用している事例。
URが事前に業者ヒアリングして募集し事業者を選定。住民自身にもやる気になり民間と住民(自治会)との直接勉強会を開催している。


埼玉県子育て共助のまち普及の取り組み事例

新日本コンサルタント 大門健一氏


①プロポーザルによる事業者選定(公共主導)
 公共団体が宅地造成の事業を実施(事業地は県が提供)し、子育て共助のまち普及モデル事業の流れと
 プロポーザル方式で事業者選定する審査基準となる項目について紹介。特に「子育て(親視点)」の工夫、
 「子育ち(子供視点)」の工夫、「共助」の工夫の項目内容について説明。

②分譲住宅認定制度(民間事業者主導)
 民間事業者が宅地造成の事業を提案(事業内容で認定し、県は事業支援)する子育て応援分譲住宅認定基準
 となる「住宅の広さ」「住宅の仕様(住宅設計基準」「団地環境の工夫及び整備」「住宅における工夫」
 「立地環境」をあげ、中でも「団地環境の工夫及び整備」項目で「コミュニティの醸成」
 「子育て環境の整備」の内容を説明した。


モデル造成手法の事例紹介

吉田氏

「下條村の事例では既存の住民の協働により事業費を捻出し、新しい住民を呼び、地域の協働にはいってくる仕組みを作った。URの事例では行政が民間に任せたことが画期的で、URの役割を変えてきた。埼玉の事例では土地がある場合はプロポーザル方式で行い、無い場合は認定制度を設けていく形をつくった。舟橋村で考えていることは、当然民間だけでやることでは無く、例えば場所の選定の提案やインセンティブとしてこういうことをやって欲しいとか、この部分は村が援助して欲しいとかという中で一つの仕様書をつくって行けたら良いと思っている」



意見交換

コーディネーター 富山大学 金岡省吾教授

これら3つの事例を受けて、舟橋村モデルの官民連携造成事業実現へ向けた意見交換がおこなわれ。民間事業者が提案しやすい環境には何が必要か?何が障壁となっているか?埼玉県仕様書での提案は可能か?事業促進に向けた村の役割は?事業のマネジメントはどのようにしていくのが望ましいか?子育て環境、公園整備、宅地造成が連携できるための仕組みは?複数業者の連携による提案は可能か?について各委員から意見・提案がだされた。『行政が関与することでターゲット絞り込みの化膿性」「ターゲットの世代・イメージについて」「舟橋と周辺地域との分譲環境」「子育て支援のインパクト性」「30年後を見据えた住宅環境の循環」「認証制度のメリット』「複数業者連携の実績や可能性」についての意見交換や下條村事例についての質疑など有意義な議論が約30分にわたり交わされた。



閉会

金岡教授

『埼玉県のようなモデル事業をやるべきなのか、民間の方の認証制度で進むべきなのか、魅力的に子育てという部分をつくるにあたり、賃貸と組み合わせるのかなど様々なご意見をいただいた中、仕様書で本当に提案は可能なのだろうか、それを動かすに辺り協働で、コスト的にもだいじょうぶなのだろうか、審査基準をつくっていって、価値ができるかどうかなどこの後はヒアリングで個別に話しを聞いていくことになります」

子育てしやすい環境づくりをコンセプトにした舟橋型宅地造成ビジョン検討会第3回目

古越副村長

「今日で3回目、今日の話それぞれ精錬されて次に繋がっていくと思います。民間も頑張り、行政ももっと汗をかけということを皆様から聞いたのでは無いかと思います。この後は先生の方からそれぞれおまわりするとお聞きすると聞いております。ぜひ思いを伝えていただきたいと思います。村の魅力は何かを考えさせていただきました。皆様のお力を是非お借りしたいと思います」

事務連絡

舟橋村 吉田昭博氏
「行政にしてもらいたいこと、率直な意見を聞かせていただきます。早めに聞かせていただきまとめたいと思っております。ヒアリングを受け仕様書案をつくり村内で協議し実践していくための仕様書案を作成。それを踏まえて第4回目の検討会をおこない。ゴーサインがでればプロポーザルを実施していきます」

検討会を踏まえて、共助機能を有する持続可能な地域づくりを実施するためのご意見を伺う、参加者ヒアリングを実施します。
ヒアリング日程
候補日:12月2,4,5,11,12日
場所:舟橋村役場、または訪問


第三回検討会参加者

富山YMCA
 富山銀行
 正栄産業株式会社
 正栄ウエルフェア株式会社
 株式会社飯山造園
 株式会社OSCAR J.J
 北陸銀行
 富山第一銀行
 NTT西日本
 日本政策投資銀行
 舟橋村

事務局

舟橋村生活環境課
 舟橋村総務課
 富山大学地域連携推進機構教授 金岡省吾氏
 富山大学地域連携推進機構地域連携推進員 河合英明氏
 富山大学研究振興部社会貢献課
 新日本コンサルタント都市計画部門都市計画・環境系グループ
 OZ DESIGNE WORKS

オブザーバー

魚津市企画政策課
 高岡市都市経営課

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