「舟橋村は平成の合併以降日本一面積の小さな自治体となり、3.47k㎡の面積に3000人を超える人口をかかえています。昭和45年に決定された富山・高岡都市計画区域により舟橋村全域が市街化調整区域に指定され、新たな宅地化が認められず人口減少の歯止めがきかない状態でした。昭和63年9月に市街化調整区域からはずれ、人口増を図るために平成に入ってから村営での宅地造成をきっかけに平成24年の3月には3000人を突破しました。昨年発表した国立社会保障・人口問題研究所の今後30年の人口推計では舟橋村は県内唯一の増加予測となっていますが、そのための様々な努力が必要となると考えています。村独自の推計ではこのままだと全国と同じく減少していくという結果になりました。特に若い世代の定着・増加がないと減少することから、子育て世代へ向けたアプローチとして「子育てしやすい環境」を価値観にした施策の強化を検討しています。従来の分譲ありきの宅地造成ではなく、子育ての村としてハードとソフトの一体化した開発が実を結ぶと信じ、今回の検討会の開催となりました。皆様で検討いただき、あるべき実施計画をつくっていきたいと考えております」
日本一小さな舟橋村の概要と立地環境、人口増の背景や人口の推移と予測、人口問題プロジェクトで導かれた舟橋村のあるべき姿について説明。「ハードの部分だけで無く地域の人が地域をつくっていく仕組みがないと持続可能な地域づくりは困難であり、ハード+ソフトの取り組みが重要になる」と話し、舟橋村の具体的な取り組みである「宅地造成」「子育て環境の充実」「京坪川河川公園の子育てブースの新設」についてハードとソフトを組み合わせた事業で実施したいと説明。様々な先駆事例を学ぶ中で、民間企業が地域づくりの中に参入し、新しいビジネスを展開する事例があることから、民間企業の方々と一緒に舟橋ならではの生き残っていける地域づくりを共有目的に各々の事業計画を一緒に作成することが本会の狙いであると趣旨説明した。
親密度の高いコミュニティづくりを住宅地形成を目指したものには住民参加型、開発者行政等提供型があり、住宅参加型にはコーポラティブ方式による戸建住宅地、グループ形式方式による戸建住宅地、入居後の住民活動による街並み形成と住宅地づくりの事例があり、開発者行政等提供型では、団地内にコモンスペースを配置した住宅地、「子育てにやさしい住まいと環境」認定住宅地、子育て支援に配慮することを条件とした事業公募をした事例を紹介した。
本検討会開催のきっかけともなった事例で舟橋村と富山大学でヒアリングをおこなったUR都市機構の多摩平の森団地再生事業を紹介。建て替えに際し住民・日野市・URの三者で勉強会をおこない、単純な建て替えでなく民間の新しいアイデアによるリノベーションでの再生・活用を図ろうと、URが事前に業者ヒアリングをおこない募集し、民間と住民が協働して団地再生した「住棟ルネッサンス事業」の概要を説明した。
また、UR賃貸住宅の子育て支援取組事例として、UR・足立区・民間事業者との協働による団地内スペースを活用したキッズルームや学童保育室の運営するハートアイランド新田の事例を紹介した。
A社の埼玉県子育て共助のまち普及モデル事業について、多世代居住による共助のまちづくりとして、地域で子供を見守りつながる仕組みをつくり住居の配置や公共空間の活用提案を取り入れたまちづくりの事例を紹介。ソフト込みでの提案する宅地開発が生まれ、社会的な課題の解決と自社利益や競争力向上の両立を目指す動きが企業価値として捉えられるようになっていると説明した。
舟橋村は日本で一番小さな村。行政も小回りが利きます。皆様のご提案にすぐ動きがとることができますので、今後も積極的な議論をお願い致します。
「大学では産学官金連携として、地域づくり文化支援、産学連携、生涯学習、地域医療保険支援の4つの柱で地域貢献をしている。日本は少子高齢化と若者人口の都市部一極集中化により地域の疲弊が著しい。地域創生も地域の魅力をどう伝えるのかを自分たちで考えることが求められている。舟橋村の中長期の持続可能なコミュニティはどうあればいいのかがテーマだが、行政・民間・住民の役割やコストの分担を、時間の長さの違いを考慮して折り合いを付け考えることが重要である。社会の変化の中にこそビジネスチャンスはある。人口減少の中需要は確実に減るが需要の構成は変わるのでその変化を捉え、地域の特性を考えあるべき姿を考えることが必要。個別の事案に議論を交わしよりよい舟橋村を考えていってください」