舟橋村地方創生
舟橋村/富山大学

令和2年度 エリアマネジメント勉強会 開講式

日時 :令和2年8月19日(水)14:00〜17:00
会場 :舟橋会館2階 研修室

舟橋村と富山大学地域連携推進機構の共同主催により,勉強会に参画する事業者があらゆる運営主体と有機的に結びつき,新たな地域人材の発掘・育成を目指すとともに,魅力ある地域づくりの実現に向けて,コミュニティを活用したビジネスモデルの創出を目指した「エリアマネジメント勉強会」の開講式が行われ,令和2年12月までの約4か月にわたる勉強会がスタートした。

今期は,コロナ禍での開催ということで,検温・消毒・3密回避の実施など感染防止対策を徹底するとともに,感染拡大地域からの移動を伴う参加団体のみなさんには,リモートで参加していただくなど,新たな試みにも挑戦した。

開会

エリアマネジメント勉強会 開講式

挨拶

舟橋村長:金森勝雄

本村は,日本一小さな面積(約3.47k㎡)であり,平成27年から地方創生に向けて「子育て共助のまちづくり」を基に,各種事業を展開してきた。平成31年には,出生率1.86,子育て世帯の転入131世帯(5年間計)となり,各種事業に対して一定の成果が出てき始めている。

今後は,各事業者のプレーヤーが連携するとともに,自立・自走し,持続可能な運営を行うエリアマネジメントが重要であり,本勉強会では,プレーヤーの皆さまにお集まりいただき,先進事例から求められているコミュニティやCSV(共通価値の創造)に向けて,ビジネスモデルを検討してほしい。

なお,本勉強会の最終日には,今後5年間の事業計画を発表していただく予定である。いただいた発表内容を基に本村の将来像を描くとともに,第2期総合戦略の骨子にする予定である。

来賓挨拶

北陸財務局 富山財務事務所 所長 長谷川正浩

北陸財務局 富山財務事務所では,金融庁の出先機関として設置しており,財務局の機能やネットワークを基に地方創生の取組や,課題解決に対して自治体と伴走している。

舟橋村では魅力ある地域づくりに向けて,コミュニティをつかったビジネスモデルの創出を意図しており,これまでにも様々な取組を実施していることを伺っている。これまで以上に関係機関の連携やスケールアップを期待し,富山財務事務所としても最大限のバックアップしていく。

一般社団法人 日本造園建設業協会 北陸総支部 久郷愼治

舟橋村と造園3団体((一社)富山県緑化造園土木協会,(一社)日本造園建設業協会 北陸総支部,(一社)日本造園組合連合会)は,平成29年1月に地方創生にかかわる覚書を締結した。同時に平成28年~平成29年には,富山大学の金岡先生にも協力いただき,造園勉強会を開催した。これまでの勉強会やエリアマネジメント勉強会を通して,自ら学んで行動を起こし,地方創生につなげていきたい。

参加団体の自己紹介

エリアマネジメント勉強会 開講式 自己紹介 目的・スケジュール説明
株式会社AsMama 代表取締役 甲田 恵子

舟橋村とは平成29年度から地域の担い手発掘や,村の中で頼りあえる子育てシェアアプリを開発・周知してきた。舟橋村における高い出生率や,子育て世帯の転入等の取組による結果が出始めていること伺っており,大変うれしく思っている。次年度以降も舟橋村の頼り合える地域づくりに向け,社員一同取り組んでいきたい。

株式会社irodori CEO 西川 晃平

東京を拠点としてスポーツマネジメント事業を取組み,その一環でカターレ富山に所属する椎名選手とボールあそび教室を開催してきた。拠点が東京であることから,村の状況や話題にも疎いが,尽力し取り組んでいく。

有限会社 金岡造園 代表取締役 金岡 伸夫

舟橋村とは平成27年から関わっている。当初5年間は何もわからない中で進んできたが,いまでは様々なことがわかってきた。舟橋村の地方創生への機運を高める一因となれたと感じている。

本勉強会では,地域の仕事づくりの観点からも,自社の役割を考える勉強会として,精進していく。

積水ハウス株式会社 CRE事業部パークマネジメント事業推進室長 矢倉 嗣也

弊社では,リラフォートの設計・施工のみならず,まちづくりにも尽力してきた。4月から部名がPRE事業部(Public Real Estate=公的不動産)と変わり,全国の公的不動産の価値を上げられるよう取り組んでいく。引き続き勉強させていただきたい。

積水ハウス不動産中部株式会社 富山賃貸営業所 主任 佐々木 勝治

舟橋村とは,賃貸住宅リラフォートが竣工してからのお付き合いである。村の地方創生と,弊社の営業アップにもつなげていきたい。

70seeds株式会社 代表取締役 岡山 史興

3年前に舟橋村長を取材したことを機に,2年前に村に移住した。村の農業のブランド化プロジェクトに取り組み,村民が農業をもっと好きになれるように仕掛けている。もともと,起業型の地域創生に取り組んできた経験もあるため,そのような知見も参考にしながら取り組んでいく。

オブザーバー紹介

本勉強会に関して,北陸財務局 富山財務事務所,(一社)富山県緑化造園土木協会,(一社)日本造園建設業協会 北陸総支部,(一社)日本造園組合連合会からの協力をいただいた。

また,下表の方からもオブザーバーとしてご出席をいただいた。

企業・役職 氏名
日本政策金融公庫
日本政策投資銀行
株式会社北陸銀行 地域創生部 上席推進役 下野 晶
株式会社富山第一銀行 地域部 部長 島田 詠
株式会社富山銀行 企業金融部 
ソリューション・サポート室 企画役補佐
藤田 敬人
富山信用金庫 立山支店 支店長 宝田 篤志
デロイトトーマツファイナンシャルアドバイザリー合同会社  シニアヴァイスプレジデント 片桐 亮(代理出席:阿部)
株式会社飯山造園 代表 飯山 晴之
一般財団法人 魚津市施設管理公社
魚津総合公園ミラージュランド 園長代理
永田 慎太郎
株式会社 野上緑化
コミュニティガーデンチーム マネージャー
飛世 裕香
田辺市役所 企画部 たなべ営業室 鍋屋 安則
大阪経済大学 人間科学部 准教授 小松 亜紀子
室蘭工業大学 大学院 工学研究科 教授 市村 恒士
室蘭工業大学 大学院 工学研究科 市村研究室

「現況説明」及び「勉強会の目的・スケジュール説明」

舟橋村 生活環境課長 吉田 昭博
【現況説明】

舟橋村の強みは,「コンパクトなまち」,「近隣地域に比べ,地価が安い」「富山市へのアクセスの良さ」の3つのポイントより,人口の増加による子育て世帯の増加,村のイメージアップ等のプラスの影響もみられたが,新旧住民の地域格差や,核家族化割合の増加,歪な年齢構成等のマイナスの影響もみられた。独自による人口予測や,年齢別の転出入者の動きに着目すると,本村も他市町村と同様に少子高齢化の波が押し寄せていた。

そこで,平成19年に村民憲章を制定し,平成20年には富山大学との包括連携を結び,若手職員研修や,人口問題プロジェクトチームを立ち上げた。平成26年には,子育てモデルに着目し,①子育て共助事業,②公園整備事業,③宅地造成事業に関してのプロポーザルを行ったが,ビジョンを共有できるパートナーが見つからず,PBL(Project Based Learning)による「自ら学び,考え,動く」人づくりが必要であると気づいた。

平成27年には,舟橋村創生プロジェクト総合推進会議を立ち上げ,第1期総合戦略では「子育て世代の転入促進(40世帯/5年間)」,「出生数の向上(149人/5年間)」,「県内企業のしごとづくり(1団体/5年間)」を目標に掲げ,モデルエリア(子育て賃貸住宅,認定こども園,公園)を拠点に事業を進めてきた。

現在は,総人口3,212人(平成27年は3,037人),合計特殊出生率1.92(平成27年は1.48),子育て世帯の転入131世帯(平成27年~令和元年)であり,第1期総合戦略のKPI(数値目標)の達成状況は,全ての項目で,達成または計画通りとなっている。

【勉強会の目的・スケジュール説明】

・①「舟橋村の地域課題」と「自社の稼ぐ力」をもう一度見直すこと,②エリアマネジメント勉強会メンバーが有機的に結びつき,③コミュニティを活用したビジネス(CSV事業)を計画することである。

・勉強会のスケジュールは,8/19(水)を開講式とし,12/9(水)の修了式に向けて,約4か月の中でビジネス(CSV事業計画)を発表していただく。

・なお,最終日に勉強会参加団体の皆さまから発表していただくCSV事業計画は,第2期総合戦略の骨子とし,地方創生交付金に申請し,令和3年度からの事業交付金の獲得を狙う。

座談会

エリアマネジメント勉強会 開講式 座談会

まずは,「舟橋村の現状について聴講し,気づいたことや感じたこと」,「これまでの取組を通して,うまくいっていないことや自社の課題」,「今後,取り組みたいことやその事業イメージ」について各社から発表があった。

  1. 有限会社 金岡造園 代表取締役 金岡 伸夫
  2.  園むすびプロジェクトのおかげで,リラフォートに入居したという世帯もあり,これまでの取組により,出生数や転入に関して,一定の成果があったことを実感している。
     本勉強会では,一事業者としてどのように他のプレーヤーと共通価値を描いていくか検討していくとともに,これまでの活動のパッケージ化(商品化)や,資本を積み上げていくことが重要である。また,スタッフの継続性に関しては課題である。
     公園が地域にとってどのような場所であるべきか,皆さんと一緒に共通価値をどう見出せばいいのか,答えを出していく。
  1. コーディネーター 富山大学  地域連携戦略室 教授 金岡 省吾
  2.  活動のパッケージ化(商品化)や,造園業からの地方創生の役割について,考えながら進めてほしい。
  1. 株式会社AsMama 事業本部 事業推進部 企画主幹 川添 華子
  2.  ICT(バーチャル)とリアルコミュニティを双方のコミュニケーション支援を続けてきた。2020年7月までのアプリ登録者235名まで増え,令和元年のリアル交流会参加者は,558組(約1500名)の参加があった。共助サポーターの人数が,あまり芳しくなく,コロナによる対面コミュニケーションの回数も減少し,大きな課題となっている。アクティブな担い手の多くが富山市のスタッフであり,舟橋村の中では,担い手という名称がつくと心理的なハードル高く感じる方が多いことが現状である。能動的な参画を促す仕組みについて検討を進める。
  1. コーディネーター 舟橋村 生活環境課長 吉田 昭博
  2.  首都圏と地方ではコミュニティの性質が異なるため,舟橋村に合わせたコミュニティ支援を進める必要がある。
  1. 積水ハウス株式会社 CRE事業部パークマネジメント事業推進室長 矢倉 嗣也
  2.  弊社では,コミュニティを通して,満足度につなげる取組はやってきた。弊社が所有するリラフォートでのコミュニティイベント等を通して地域(エリア)の価値をあげることが今後の課題である。積水ハウス不動産などのグループ会社やコミュニティ専門家も交えて成長していく。
     弊社は8月1日に,60周年を迎え,前半30年では住まいの安心(ハード)の提供,後半30年は住まい方の提供,今後30年は幸せを提供できるように事業を進める。団地にとどまらないコミュニティのあり方を考えていく。
  1. コーディネーター 舟橋村 生活環境課長 吉田 昭博
  2.  ソフトも織り交ぜた住宅商品プランのパッケージ化をしていただき,周知・PRを強化し,地方創生に関わっていただきたい。
  1. 積水ハウス不動産中部株式会社 富山賃貸営業所 主任 佐々木 勝治
  2.  リラフォートが8月末に満室となった。
    勉強不足な部分も多く,知恵をいただきながら進めていく。
     リラフォートの満室がつづくと,転入促進に歯止めがかかってしまうため,住宅購入等の住み替えのサイクルを検討する。
     課題としては,コミュニティによって①入居促進,②退去抑制,③賃料の下落防止ができるのか,注意深く見ていくことが責務である。
  1. コーディネーター 富山大学  地域連携戦略室 教授 金岡 省吾
  2.  リラフォートからの受け皿(空き家,戸建て住宅等)について,戦略的な賃貸住宅の誘導の仕方について検討してほしい。
  1. 70seeds株式会社 代表取締役 岡山 史興
  2.  一住民の立場として話をすると,舟橋村でもうひとり子どもができて,団地に住み替えた。リラフォートで住み替えをするような流れに近いかもしれない。アパートに居住する他の居住者(親子)も住み替えを検討しており,ヒアリングをしながら,リラフォートに置き換えることも面白い。
     私はPRの手法を通じて,地域を事業成長させていく,各事業を後押ししていくというのをやっていて,これが一つの役割になるのではないかと思う。農地,作物を育てる人のみならず,農業にかかわる人を増やし,多角的な取り組みを検討している。
  1. コーディネーター 舟橋村 生活環境課長 吉田 昭博
  2.  まずは,舟橋村との共通価値を押さえて,自社の役割につなげてほしい。また,農業プロジェクトでは,子育てとの連携しながら進めてほしい。
  1. 株式会社irodori CEO 西川 晃平
  2.  子どもたちを対象とした運動教室を展開している。まずは,舟橋村で開催しているボール遊び教室の子どもの人数を増やすことを目標としている。富山大学の学生に協力をいただいている。引き続き,周知活動を強化していく。横展開していくためにも,富山を拠点に,「富山から世界へ」取組を進めていく。
  1. コーディネーター 舟橋村 生活環境課長 吉田 昭博
  2.  まずは,舟橋村との共通価値を押さえて,自社の役割につなげてほしい。また,事業活動には,資金も関わってくるため協賛をしていただけるサポーターとの関係性についても検討し,舟橋村での取組を横展開していただきたい。
  1. また,ご出席をいただいたオブザーバーのみなさまから,参加団体の皆さまからへのエールをいただいた。

事務連絡

次回の講義は,「企業が取り組むコミュニティを知る」をテーマとし,9/2(水)14:00より,舟橋会館2Fで開催する。