舟橋村地方創生
舟橋村/富山大学

令和2年度 エリアマネジメント勉強会 第2回

日時 :令和2年9月2日(水)14:00〜17:00
会場 :舟橋会館2階研修室1・2

舟橋村エリアマネジメント勉強会の2回目が開催され,勉強会受講者,後援・協力機関関係,オブザーバー等,会場参加とリモート参加合わせて約50名が,地方創生とコミュニティについての関係性を共有し,討議をした。

前回の振り返り

舟橋村生活環境課課長:吉田昭博

前回講義では,「現況説明」及び「勉強会の目的・スケジュール説明」を基に,これまでの舟橋村の取り組みが子育て世帯の共感につながり,メディアに取り上げられたことで民間企業による住宅開発が誘発された経緯であった。

そこで,第2回勉強会のポイントは,「①自治体がコミュニティを取り組むのはなぜか」また,「②企業がなぜ,コミュニティの商品化しているのか」について掘り下げることとした。

情報提供

テーマ:自治体はなぜコミュニティに取り組むのか+企業が取り組むコミュニティを知る①

エリアマネジメント勉強会 2日目
講師:富山大学地域連携戦略室 金岡省吾教授

 地方創生に関するこれまでの国の方向性や政策を交えながら,地方都市においてどのように人口減少が進み,地域にどのような影響を及ぼすのかについて,「地域経済分析システムRESAS(リーサス)」のデータを用いて,神奈川県横浜市や千葉県流山市の年齢階級別重移動数と比較し,勉強会受講者とのディスカッションしながら,人口減少のメカニズムを解説した。

このような中,民間企業からもコミュニティビジネスや子育て共助をターゲットとして,コミュニティを武器としたビジネスも生まれ,エリアマネジメント勉強会に参加する積水ハウス株式会社では,「社会的な課題の解決と自社利益や競争力向上の両立を目指す」CSV(Creating Shared Value)=共通価値の創造に向けた経営戦略を打ち出されている。

テーマ:企業が取り組むコミュニティを知る②

講師:積水ハウス(株)CRE事業部パークマネジメント事業推進室長 矢倉嗣也氏

「コミュニティに関する取り組み」,「CSV戦略」,「コミュニティ形成の課題」,「まちづくりからの課題抽出」について発表する。

弊社の取り組みは,大きく3つに分けられる。まず,1st(最初の30年)では,お客様への「住まいの安心・ハード」を目標にサービスを提供してきた。次に,2nd(次の30年)では,住まい方をテーマにし,さらに,3rd(次の30年)では,お客様の幸せを提供できるようにサービスを深化させていった。

また,設計のポイントは,住民満足度を上げていくことを重視するとともに,「まち」そのもの,「エリア」そのものに満足してもらえるように取り組みを図っている。中でも,弊社のまちづくりの取り組みは,コミュニティを活用した「①まちなみづくり」と「②ひとえん」を行うことで,住民の方と一緒に「まち」をつくり,育てる活動を行っている。

「CSV」戦略については,住民の方が住みやすいと思うまちを形成することで,企業の価値を上がるとともに,地域への定住意識を醸成し,地域と企業がともに価値が向上することを目指している。すなわち,より長く住んでもらえることや,また帰ってきてくれる可能性があること,住宅の価値が下がらないこと等の効果を見据えながら,住宅の満足度のみならずに様々な取り組みを進めているところである。

講師:富山大学地域連携戦略室 金岡省吾教授

積水ハウス 矢倉さんから,「コミュニティを活用した取り組み」や「CSV戦略」もついての説明があった。「CSV戦略」では,「住宅を変えて社会を変える」をコンセプトに据えることで,一地域の課題を解決するとともに,企業の経済的価値の向上を図るとともに,Sustainable Development Goals(持続可能な開発目標/ SDGs)にもつながっていると解説した。また,旭化成不動産レジデンス株式会社,タリーズカフェ,株式会社良品計画,日本郵便株式会社等の大手企業もコミュニティを武器にした事業展開を図っているところである。一方,地方都市では,和歌山県田辺市の「たなべ未来創造塾」の事例を紹介し,高垣工務店,中島大介設計工房等が,コミュニティや地域課題に着目した起業塾を受講し,ソーシャルビジネスを展開しているところである。

また,富山大学の学生らに授業をしたところでも,コミュニティがビジネスチャンスと捉える学生が大勢いることや,マイケルポーターらによるCSV(共通価値の創造)では,企業活動は利益だけ上げればいいのではなく,地域課題解決をビジネスチャンスとして捉えることが必要であることを提唱している等を踏まえ,「これからの企業は,地域の課題をビジネスチャンスと捉えるとともに,地域から必要とされる企業が人口減少社会で生き残るのではないか」と締めくくった。 

討議

エリアマネジメント勉強会 2日目 討議

聴講した情報や話題を受けて,「①気づき・感想」,「②自治体が何故コミュニティに取り組むか」,
「③自社にとって何が必要か,自社の企業活動での地方創生の可能性」などを記入する個人ワークを行った。その後,グループに分かれて,グループディスカッションを通して自社の考えを深めた。

討議終了後,本日のテーマについて各人が1分程度で意見感想などのコメントを発表し,全体で共有した。


全体で共有した主な発表内容
  1. 有限会社 金岡造園 金岡 伸夫
  2.  金岡造園自身が子育て世帯に選ばれるようになる必要がある。若い世代にも選ばれるようになっていくことで,企業としても存続できるため,就職したいという若者も増えてくると思われる。
  1. 70seeds株式会社 岡山 史興
  2.  人が出ていくこと自体は,止められない。村外へ出ていくことで,村内に戻ってきてもよいと思えるような「多様性」を築く必要がある。
  1. 株式会社irodori 西川 晃平
  2.  舟橋村と連携しながら,継続的に活動していくことが重要だと思った。自分たちの取組が地方創生に関わっているかはわからない。本社は都市部にあるため,富山大学の学生と連携しながら,運用を進める。
  1. 積水ハウス不動産中部株式会社 佐々木 勝治
  2.  「コミュニティ」と発言されているが,メインメンバーでコミュニティが醸成されていないことや,グループ内での「コミュニティ」という言葉が統一されていない。このような勉強会を通して,連携を図っていきたい。
  1. 株式会社AsMama 甲田 恵子
  2.  他都市事例を共有することで,コミュニティの必要性や,新たに求められているニーズが再確認できた。都市や地方というくくりで決めるのではなく,その地域の現状に合わせながら,課題を解決していく必要がある。村とエリアマネジメント勉強会に参加するメンバーが一蓮托生で地域経済の活性化などにつながるように尽力したい。
  1. 一般社団法人 日本造園建設業協会 北陸総支部 久郷 愼治
  2. アパートを建てた時に,三角形の使い勝手の悪い土地ができてしまった。そこに,ベンチと樹木を整備することで,“桜を見たい”という人が出てきて,(交流が生まれ,)入居希望につながった経験があり,コミュニティを仕掛けることは可能であると感じた。
  1. 富山財務事務所 小林 利臣
  2.  舟橋村の今後5年間の絵姿を描くことがこの勉強会という目的=「性能発注」であると感じた。
  1. 富山銀行 藤田 敬人
  2.  金融機関として,持続的なサポート体制を整えるためには,応援という形ではいつまでも続けられない。地方創生に関わっていく上で,金融機関としての位置付けも必要である。
  1. 一般財団法人 魚津市施設管理公社 永田 慎太郎
  2.  人口減少の歯止めには子育て世帯が重要である。コミュニティがキーワードである。

総括&事務連絡

次回は,「コミュニティが転入に繋がることを理解する」をテーマとし,9/23(水)14:00より,舟橋会館2Fで開催する。