舟橋村エリアマネジメント勉強会の5回目がおこなわれ,勉強会受講者,後援・協力機関関係,オブザーバー等,会場参加とリモート参加合わせて約30名が,「コミュニティで稼ぐ」という点に着目し,「地域と企業のCSV(共通価値の創造)」について,魚津市と田辺市での取組事例から検討し,全体で討議した。
前回の振り返り
前回の勉強会では,「舟橋型子育て支援」のキーワードは,「共感」と「愛着」であると紹介した。子育て支援センターぶらんこでは,「敷居の低い雰囲気づくりや,ハード施設」,「自分が関わったことによる愛着の醸成」,「自分の得意を表現でき,必要とされる場所づくりへ」等を通して,「小さな共助」づくりを進めてきた。また,オレンジパークでは,「子ども公園部長や保護者,他団体との作りこみすぎないイベント」を大切にし,「関わる仕掛け」と「つながる仕掛け」をイベントに散りばめ,参画を促すとともに,評価構造図の「総合満足度」のみなならず,地方創生にコミットしているとまとめた。
今回の勉強会では,「①コミュニティで稼ぐとは?」,「②舟橋村人口ビジョン(共通価値)を考える」について検討し,勉強会メンバーでの共有を図る。
講義
テーマ:CSV(共通価値の創造)を考える
富山県魚津市の事例&和歌山県田辺市の事例
富山大学 金岡先生により,富山県魚津市と和歌山県田辺市のローカルイノベーションの事例紹介を踏まえ,舟橋村の「子育ての安心感」から,「マルシェ」の重要性について紹介があった。
■富山県魚津市のローカルイノベーション例(cocomama 大島さん)
- ・魚津三太郎塾に参加によって,多種多様な業種の人たちとつながることができ,CSV事業を計画・提案した
- ・大島さんのCSV事業計画「キラキラ輝くママプロジェクト」では,「子育てしながら働くことができるフリーランスママ集団」であり,自身の課題と地域の課題を重ねながら,ビジネス化を進めた。
- ・キャッチフレーズは,「ちいさく産んで大きく育てること」であり,最小のコスト(4.5畳のスペース)から最大限の売り上げの獲得へ。
- ・ヒントは,いろんなプレーヤーが参加する公園づくりである“月イチ”園むすび“である
- ・マルシェの経験から銀行の融資につながり,出店へ。
■和歌山県田辺市のローカルイノベーション例
(初山さん,鈴木さん,高橋さん,坪井さん,関根さん)
- ・たなべ未来創造塾によって,地域の中小企業や団体が受講し,卒業生は,地域に必要とされる鮮魚店,ブドウ屋,リトミック教室,スポーツショップ,ケータイショップ会社へ変化を遂げている。
- ・安心できる“コミュニティ”から経済を回す”ビジネス”へ。
- ・たなべ未来創造塾をOB/OGを活用した有機的なつながりの構築をつくることで,1社間のつながりではなく,面的な広がりの構築している。
舟橋村の第2期人口ビジョンに向けて
第1期人口ビジョンの成果は,若い世帯が172世帯転入したことにより,2020年に3,170人と人口増加したことや高い出生率が維持できたことである。しかし,若い世帯の転入がなかった時をシュミレーションした場合には,2,778人まで減少する結果となる。したがって,第2期人口ビジョンの策定にあたっても,若い世帯が転入すること,高い出生率を維持することが必要である。
舟橋型の子育て支援とは③ まとめ
発表者:舟橋村生活環境課 廣瀬美歩係長 吉田昭博課長 |
子育て支援センターぶらんこでは「コミュニティ」,「共助」などの言葉は使わず,集まった中で自然に促す方法で居心地のよさを生みだしている。「月イチ園むすび」は,参加者にどのように関わってもらうかを検討することに膨大な時間をかけながら準備をしている。行政サービスだけでは100%にならず,自主的に補完しあう仕組みづくりが最も大切である。
討議
聴講した講義内容の情報や話題を受けて個人ワークシートに記入する個人ワークを行い,その後4グループに分かれて個人ワークの内容についてグループ毎に30分間討議しグループ内で考えを共有化した。討議終了後,本日のテーマについて各人が1分程度で意見感想などのコメントを発表し全体で共有した。
- 株式会社AsMama 林 知絵
- 田辺の事例は,互いの課題を一緒に解決していくことがキーポイントになっているのではないか。
- 株式会社AsMama 川添 華子
- 助け合うことができ,ビジネスになっていることが印象的であった。「マルシェ」という場が自己実現の場となり,「トライアンドエラー」,次のビジネスのきっかけの場となっている。
- 富山は共働きが多い。プチ起業が生まれにくい。
- 舟橋の場合は,お小遣い程度で良いのかも。週末プチ起業はあるかも。
- 株式会社irodori 西川 晃平
- 私たちの舟橋村での役割は,“運動機会の提供”を通して,子供が集まる場所をつくることともに,教える優秀な人材を育て,全国に向けて発信することである。
- 同じ方向を向いて活動している団体とのコラボを考えていくことで私たち単体ではできない活動の大きさに繋がっていけばより良い活動になると思われる。
- 有限会社 金岡造園 金岡 伸夫
- 田辺市は稼いでいることや,コミュニティのよさや,仲間同士の人間関係が良いと見受けられる。
- 佐々木さん,岡山さん,樋渡さん,イロドリさん,Asmamaさんと連携して進めていく必要性を感じた。
- マルシェは,マーケティングの場であるとともに,プレイヤーと利用者の繋がる場となっている。
- 出生率は,公園のテーマであると感じている。
- 積水ハウス株式会社 矢倉 嗣也
- 新しいローカル商品として企画していきたい。
- 積水ハウス不動産中部株式会社 佐々木 勝治
- 子育てのブランドとコミュニティで,低賃料で空家に住んでもらう取組ができないか。
- 土地の価値を顕在化し,収益に転換させたい。
- コミュニティの価値の数値化ができるとビジネスモデルになる。
- 園むすびがあれば空室期間が減るなどの数値があれば,村と企業が儲かるしくみとなる。
- 70seeds株式会社 岡山 史興
- 田辺市は危機感が強いと思う。舟橋では見えにくい。舟橋との違いは,ベットタウン戦略との矛盾であるとともに,ベッドタウンで集まった人は起業につながりにくいのではないか。
- 均衡を維持することよりも,出生数が大事であると思う。
- コミュニティが商品となるとき,舟橋の場合は子どもを産みたくなること,住みたくなることが価値であるのであれば,出生数で勝負することだと思う。
総括&事務連絡
- 次回は,「地域にある運営主体との連携を考える」をテーマとし,11/4(水)14:00より,舟橋会館2Fで開催する。