舟橋村地方創生
舟橋村/富山大学

平成29年度事業 Project

マネジメント組織のあり方WG(第2回)

日時 :平成29年12月12日(火)14:00〜16:00
会場 :舟橋会館

舟橋村モデルエリアをケーススタディとして,マネジメントのあり方を考えるワーキンググループの第2回目が開かれた。

コミュニティ活性化に必要な取り組み 組織体制 資金調達方法 を学んだ。 
WGの趣旨説明や全国の参考事例の紹介,参加者の自己紹介等がおこなわれ,WGの目的の共有化と参加メンバーの相互理解が図られた。

<参加者概要>
  1. ハウスメーカー:7社10人
  2. 造園     :3社3人
  3. 保育園    :2社2人
  4. オブザーバー :4社5人 合計16社20人

前回の振り返り

株式会社日本能率協会総合研究所 塩見一三男
WG(第1回) 舟橋村地方創生PJTの状況

WGの位置づけと目標の確認と前回ワーキングの振り返りがおこなわれ,次の点について説明確認と情報共有をおこなった。

<WGの位置づけと目標について>
  • 現在建設中の舟橋村の地方創生のコアとなる子育てコミュニティに特化したモデルエリア(賃貸住宅・都市公園・認定こども園)の空間で出生数の向上と,子育て世代の転入を実現させ,将来的な村内定住を支援すること。こういう空間での様々な課題解決をビジネスとして展開した県内企業の仕事づくりを目標達成のために動いていること。
  • モデルエリアの3つの施設をマネジメントしていく主体形成へ向けた勉強会の位置づけであること。
  • コミュニティ創出の取組み・組織体制・取組み費用の捻出など,モデルエリア内のマネジメントのあり方を考えるワーキングをこのWGでおこなうこと。
  • ・参加者の内訳
  • ・参加者アンケートの調査結果について(WGの目的は理解できたか?参考事例は役に立ったか?自己紹介・感想などの対話時間について)
  • ・アンケート記入意見の紹介
  • ・前回の参加者発言要旨について

自己紹介

今回初参加者6名の自己紹介がおこなわれた。

事例研究

講師: 株式会社AsMama 代表取締役 甲田恵子氏
WG(第1回) WGの趣旨,内容等

AsMamaの活動紹介と地場の企業と組み地域コミュニティを経済的に自立自走させた取り組みをつくってきた事例について報告

  • 女性が産み,育て,働き続けられる環境をどう作るか,共働きできる環境をどう作るか,60歳以上の元気な年配者がまちづくり・地域づくりにどう入ってくるのかが少子高齢化社会での大きな課題。
  • 環境づくりには子育て支援の相手に求められる要件が必須。「保育の場」ではなく子育て経験や気持ちの理解してくれる人による「多様性に対応できる支援」を満たした環境でないとハードを整えても安心して子どもを預ける環境とはならない。
  • 子育て世帯の誘致には,子育て支援サービスの充実だけでなく,近隣とのつながりがあることでの暮らしやすさや防犯性の高さが求められる。
  • AsMamaは,万が一の場合の保険を適用させ母体が責任を持つ形で,ご近所同士の子どもや親の気持ちを理解した者同士が頼り合えるコミュニティをつくって子育てを皆でやっていくスタイル。
  • 子育てを支援したい人や企業と子育て世帯がリアルに出会い,交流する機会を全国で展開。子育てシェアアプリの登録と活用促進により同じ地域環境の親を繋げ個々の子育て課題解決や自己実現を両立するネットとリアル双方での取組みをしている。
  • 活動の特徴は,共助を広げるための認定サポーター(ママサポ)を募集・育成して,子育てシェアや交流会・地域情報の広報活動や運営や子育てシェアによる支援活動をおこなっていること。
  • 舟橋村では,ママサポをつくるだけでなく,コミュニティ運営やコミュニケーションや研修に必要なノウハウを提供して,運営者のサポートをしていきたい。
  • AsMamaが有する仕組みの特徴である,地域の顔見知り同士で子育てを頼り合う「子育てシェア」は登録者5万人,日本初全支援者に賠償責任保険適用。
  • パートナー企業ニーズと親子ニーズに合わせた多様な親子交流のリアルな場を全国で800回以上開催。地域交流事業と共助コミュニティ創生事業での収益モデルを構築。2017年1月より開始したURとの協働事例を紹介。
  • オンラインでの協働が実現すれば,リアルな交流イベント開催だけでなく市区町村民子育てオンラインコミュニティを設置し誰でも入れるコミュニティが実現する。
  • 舟橋村のコミュニティづくりの取り組みは国のガイドラインに近く注目されている。
  • コミュニティづくりは担い手を如何に早く巻き込むかがカギ。誰かのために役立ちたい人は多く,何故参加してこないのかの原因追及がコミュニティリーダーになるポイント。
  • 暮らしやすさのカギは地域共助。ご近所ネットワークによる地域共助が実現すれば,子どもにとっても安心な柔軟性の高い成長環境が実現する。
  • AsMamaの目指す役割は互助を仕組みかする事で「21世紀型共助」を構築すること。インフォーマルに存在した「互助」だけでなく「共助」「公助」を誰もが使えるようにする役割を目指している。コミュニティーリーダーは自分たちのこと知ってもらう仕組みをつくることが重要。
  • コミュニティ(イベント)がうまくいかない例は、ホスピタリティ満載でお客様として持てなしてしまう場合や,自分たちの事だけ話してしまう場合。コミュニティリーダーは地域・企業の情報に精通し相談相手として物知り役となるとか,地域社会での子どもや保護者支援をする頼り合いネットワークの長になると自分をPRしやすくなる。
  • コミュニティーリーダーづくりには,地域のニーズとネットワークを知ることから。AsMamaでは地域支援者(ママサポ)を募集・育成。専門知識をEランニングやスカイプで研修し,ママサポによる自主交流会開催の支援,交流会ノウハウなどを提供。
  • AsMamaのビジネスモデルは,子育て世帯・地域・企業の「三方よし」のエコシステムを創り出すこと。
  • 自治体との基本協定を結び,「支援提供者募集・育成」「子育て共助協働の周知」「地域交流支援」「仕組みの開発」「自立自走共助支援」の各項目を3年かけて醸成させる取り組みをおこなっている。

質疑・感想など

参加者から今回の講義についての質疑や感想,意見などの発言があり,講師が応答した。

WG(第1回) WGの趣旨,内容等
<主な質疑応答>
賃貸住宅内などクローズのコミュニティエリアと地域のオープンなコミュニティエリアでの運営の違いや注意点は?
賃貸住宅等は世帯層が似ているので親和性が感じやすいので仲良くなるまでの時間が短い。地域の場合は,住居環境や世帯層が違うので一同に集めてしまうと居心地が悪くなるコミュニティになりかねない。3歳以上で頼りあえる関係を作れるような場合は,同じような世帯を集めるように地域イベントでは気をつけている。また,0〜3歳児を集める場合は,預けたい人ばかりが集まるので,預かれるママサポーターの数を集めてから参加者を集めないとコミュニティリーダーが機能しない。同じ関心事、同じ世帯層で集めるようにしている。
イベントでの注意ポイントは?
賃貸住宅等は世帯層が似ているので親和性が感じやすいので仲良くなるまでの時間が短い。地域の場合は,住居環境や世帯層が違うので一同に集めてしまうと居心地が悪くなるコミュニティになりうまくいかないイベント例は,黙々と工作等の作業をするイベント(楽しんでいるが喋らないのでコミュニケーションが取れない),スタッフが一生懸命もてなすイベント(参加者がお客さんになってしまう),30人を超えるイベント(4人で15人ぐらいのイベントが良い)賑わいがある大きなイベントはリレーションが作れない。イベントに最初に来る人は,話が長くできるのと作業を手伝ってもらうなどの居心地の良い空間にして巻き込みやすい。親子で来た人の場合は最初に子どもから挨拶して大人に挨拶するのがポイント。
うまくいかないイベント例にあった工作イベントで成功させるには?
賃貸住宅等は世帯層が似ているので親和性が感じやすいので仲良くなるまでの時間が短い。地域の場合は,住居環境や世帯層が違うので一同に集めてしまうと居心地が悪くなるコミュニティになりA:工程を分割し,道具を協同で使うようにするなど互いのコミュニケーションが取れるように工夫する。コミュニティリーダーが人と人を繋げ,皆で考えながら進めるようにする。
資金調達など上手くいってるのか?
今は株式会社として自立自走している。企業のコミュニティづくりの失敗は,最初に金を払って,払った側の指示で進めるという手法にあると思う。AsMamaは有償ボランティアを基本に自分で頑張ってもらうシステムでノウハウ提供をおこなっている。資金調達の面では最初が赤字にならないという事が大事。コミュニティで人を動かすインセンティブは,お金ではなく,リソース調達をどうするのかが重要。人をどうするかからスタートする。
コミュニティリーダーの軸は?
コミュニティリーダーは,「人と人」「人と企業」を繋げるビジョン・ミッションに共感する人をAsMamaが認定するサポーター。ママサポが開催するイベントにはすべて本社が保険料を負担している。中立的な情報提供を行い,営業色宗教色がでない,公序良俗に反しない自由な活動をしている。
イベントをやる中で,自分に得がないと参加してこないのでは?子どもがいないと疎外感はないのか?
参加者は子育て中の人が80%ぐらいを占める。中高齢者や男性の参加は課題ではある。中高齢者はお金より役割が欲しい人が多い。地域参画を呼びかけて,高齢者や男性は役割をハッキリさせれば協力してもらえる。
コミュニティリーダーに向かない人は?
精神的肉体的に健康でない人。不安のある方はサブで活躍していただいている。また,インターネットを使えない人,顔出しがNGの人も向いていない。
都会と田舎での手法の違いはあるのか?
手法の違いは無い。やっていくうちに子育てシェアの使われ方や参加者の指向性が地域によって違う。イベントでは都会地では内容次第だが,地方は行政や地域で信頼のある場所や団体・人と一緒にやらないと最初の立ち上がりにスゴく時間がかかる。
イベントで3回目に本題に入るという話があったがどういうことか?
1回目は自分を好きになって信頼してもらう。あなたに興味・関心があるかをアピール。2回目で,信頼・安心を確信してもらい子育てシェア登録を検討してもらい,3回目で,子育てシェア登録・活用してもらえるようにする。
住人交流・地域間交流で工夫されていることは?
地域間交流で子育て支援活動されてる方の交流は無いのが現状。地域団体をくっつけるとか,マッチングして交流会をやると効果的である。人集めやコミュニティリーダー同士の仲人役をやると信頼が高まる。
子育てシェアの登録者について
5万人の登録者の半数は,登録だけで活用していない。活用者の解決案件数16千件,解決率85%である。
AsMamaのビジネスモデルを利用者は理解しているのか?
子育て支援は行政がやるもので無料という意識が強いママたちには,互助の世界,ボランティア的な活動であることを示しながら,企業へは情報発信力や訴求力・マーケティング力を示す2面性をうちだしてきた。昨年ぐらいからは中高年者や男性を地域の支援の担い手に育成していきたいとか、地域の団体をコミュニティリーダーにしていくことに力をいれており,今後は地域のコミュニティをデザインしていく姿勢を全面にだし,ビジネスモデルを説明するスタイルに転換していく。
共助コミュニティの創生事業で住民をどう集めるか?
集合住宅は,訪問していけばよい。営業色が無く場を借りてる立場の中立性が良い。間に第三者が入ることで中立性が保たれ全体像が伝えやすい。
AsMamaの由来は?
Azは「〜として」の意味。ママとしての役割を周りの人ができたらと命名した。
地方でうまくいかなかったケースは?
行政やPTAなどの協力が得られなかった。ママサポ1人に孤軍奮闘させ孤立させてしまったケースがあった。コミュニティリーダーを3人ぐらい置いた体制で進めていくことが必要であることを学んだ。
地域コミュニティリーダーとアズママサポーターの違いは?
地域コミュニティリーダーの中にアズママサポーターがいる。これから1年ぐらいで子育てシェアをフルリニューアルかけていこうかと考えている。人間の関係性の進化を見える化し,外国人にも利用できる多言語化対応や地域をつなげて高齢者の支援へ関係性をつくっていきたいと考えている。